槍術四流派合同演武体験会

一昨年から始まった槍術四流派合同演武・体験会に鎌倉春風館有志と参加しました。

このイベントは日本古武道協会加盟流派の中で四流派しかない槍術専門流派である宝蔵院流高田派槍術、佐分利流槍術、風傳流槍術、尾張貫流槍術が共同で演武会、体験会を行うものです。過去2回は名古屋開催でしたが、今回は宝蔵院流のお膝元である奈良での開催となりました。

前日、技術交流会と懇親会

1日目は槍術四流派門人限定の技術交流会が行われました。外部には公開していない技術や、槍術稽古者だからこそ分かり得るような理合など、演武や体験も交えた技術交流を行いました。夜には懇親会も行われ、槍術稽古者同士の親睦を深め、今後も協力しあって槍術の普及・発展に努めていくことが確認されました。

技術交流会参加の皆さんと

一般公開演武・体験会

2日目は一般公開の演武・体験会です。

各流派の技やコンセプトを分かりやすく演武し、その後は実際に各流派の槍を手にとっていただいての体験稽古を行いました。

説明演武

槍術は突くだけの単純なものに思われがちですが、8枚の刃を持つ十文字鎌槍を活用した技が特徴の宝蔵院流、長い刃を持つ鍵槍で突くだけでなく斬りも得意な佐分利流、十六角の二間槍で相手を甲冑の上から叩きのめすことができる風傳流、管を用いた二間槍で素早い繰り引きが特徴の尾張貫流…と、まず道具からそれぞれに違い、技も非常に多彩なのです。

風傳流槍術の槍
佐分利流の槍

老若男女、武道経験者の方もそうでない方も幅広い層の皆様に体験していただきました。お子さんたちも多く来られていて、帰り際に小さな兄弟が「今日は楽しかったな!!」と話しているのを耳にし、心から来て良かったと思いました。

尾張貫流体験
お子さんの尾張貫流体験

イベント終了後は宝蔵院流高田派槍術代表の駒喜多先生に興福寺をはじめとする宝蔵院流や柳生家ゆかりの場所をご案内いただき、最後には宝蔵院流開祖胤栄師や歴代の先生方のお墓にお参りしました。

駒喜多先生のご解説を聴く
興福寺内の宝蔵院跡地
胤栄師が十文字槍の着想を得た猿沢池
宝蔵院流累代の墓所碑

終わりに

槍術四流派合同イベントも今年で3回目になりました。多くの方にご参加いただき、槍術を体験していただけることは本当に嬉しいことです。また槍術稽古者と流派の垣根を超えて交流できることで、どれほど学びが深まっているか分かりません。ご参加いただきました皆様、槍術四流派の皆様(特に今回お骨折りいただきました駒喜多先生、宝蔵院流高田派槍術の皆様)、ありがとうございました。

追記

今回イベント前後に1日ずつ奈良を回る日を作り、1日目は日本最古の神社のひとつ、大神神社(おおみわ)に参拝しました。

この日は特に陽射しのきつい暑い日だったのですが、境内に入ると不思議と涼しさを感じ、清々しい気持ちになりました。御神体である三輪山の登拝口にあたる狭井神社に着くころには、口数は減り、心も静かに穏やかになっていました。詳らかに書くことは控えますが、皆さんにも是非足を運んでいただきたい神社です。

大神神社
三島由紀夫碑

三輪は手延べそうめんの元祖とも言われ、多くのそうめん専門店が軒を連ねています。暑かったこともあり、普段食べているそうめんと比べて細く繊細な味わいの三輪そうめんを堪能しました。

森正
万直し本店
三輪山本
三輪山本店舗

また奈良は日本酒発祥の地であり、大神神社にもお酒の神様である大者主大神(おおものぬしのおおかみ)が祀られているということもあり、普段はあまり酒を飲まないのですが、この日は奈良の地酒を堪能しました。

風の森呑み比べ

イベントが終わった次の日、念願であった柳生の庄を訪れることができました。

奈良市街から車で30分〜40分ほど細い山道を走ると柳生に着きます。柳生に近づくにつれどんどんと人が少なくなり、柳生の庄にはほとんど人影がありませんでした。ただ、寂れて荒れているわけではなく、道や田畑はきちんと手入れされていました。

正木坂剣禅道場
柳生家菩提寺、芳徳寺
柳生家墓所
天乃石立神社
一刀石

柳生石舟斎がこの地で天狗と稽古をし、天狗を斬ったと思った次の瞬間、この大岩を両断していたという伝説があります。この伝説は『鬼滅の刃』の中でオマージュされ、一時期は人でごった返していたそうです。

私たちが訪れた際は平日だったこともあってか誰も居らず、神秘的な静けさと厳かさを存分に味わうことができました。

天狗と戦ったということやこの大岩を斬ったということは伝説であっても、この天乃石立神社が柳生家にとって大切な場所であったことは事実で、この場所で柳生の先師たちが修行をしたことは間違いないと思います。

涼しい風が抜け、静かで、整ったこの地を訪れることができたことは、きっとこれからの私たちの稽古を深める大きな道標となることでしょう。

改めて先師の導きに感謝して、今回レポートを終わりたいと思います。

赤羽根大介