1年ほど前に二輪の免許を小型から中型に限定解除をし、8ヶ月ほど前から中型のバイクに乗り始めたのですが、久しぶりに何かの初心者になって痛感したのは、「力を抜こうと思っても、力は抜けない」ということでした。
バイクのライディングフォームも、私たちが稽古している技術と同じく上半身が力んで肩が上がってしまうような状態はNGであり、「肩や腕の力を抜く」という意味のことが指南書などに書いてあります。小型のバイクに乗っていた時は特に意識せずともできましたが、少し重く、パワーのあるバイクに乗り始めると自然と上半身に力が入るのを感じました。しかし、文字通りに肩や腕の力を抜こうとするだけでは全く力が抜けません。
(ただ上半身の筋肉の力を抜くこと自体はできるのですが、それだけでは転倒してしまいそうになるため自然とまた力んでしまいます)
ところが、一旦上半身を忘れて下半身を安定させることに努めると、上半身の力みは勝手に抜けていきました。
「力を抜く」ということ自体は間違いではないのですが、そうした意識や声かけでは目指す状態に辿り着きにくいように思います。目指す状態とは「力が『抜けている』状態」のことであり、自然とそのような状態になるよう、それを妨げているものを探り、解決していくことが遠回りのような近道だということを、今回の体験で改めて実感しました。
門人の皆さんも上半身の不要な力みに苦労されている方は多いかと思いますが、例えば「肩の力を抜こう」という意識の持ち方よりも、下半身の使い方を足裏、下腿部、大腿部、臀部、腰・肚と丁寧に見直していくことが近道になるかもしれません。これは、腰を落とした切り上げの素振りに毎回一定の時間を割くようにしたことの狙いの一つでもあります。
赤羽根大介
3月6日追記:下村館長曰く、初代館長神戸金七先生は、ここに記したような内容のことを「蝶が舞うが如く(遣う)」という言葉で教えられていたそうです。関東支部門人の皆さんにもこの言葉をよく味わっていただきたく、シェアいたします。