流儀について

春風館関東支部で稽古している主な流儀についてご紹介します。

尾張貫流槍術

尾張貫流槍術は二間槍(およそ3.6m)に鉄製の管を通し、素早い繰り引きを実現した槍術です。古武道には珍しく「試合に始まり、形に終わる」防具を着けた激しい試合を主体とする稽古体系が特徴です。

流祖・津田権之丞信之は1655年に尾張藩馬廻役の子として産まれ、1692年には尾張藩槍奉行となりました。時の尾張藩主徳川吉通は貫流を他藩に伝えることを禁じ、御止流と呼ばれました。

近年では『Dr.STONE』という漫画、アニメ作品で取り上げられ、広く知られることとなりました。本部道場は原作漫画に取材協力をし、関東支部はアニメーション制作の際の動きや細部の取材に協力しています。

尾張貫流の稽古

専用の防具を着けての試合稽古が中心となります。勝ち負けを競うのではなく、形稽古で学んだ理合を生きた攻防の中で磨くことが目的となります。

初学の方や体力に不安のある方は、素突きや防具を着けた者への突き込み稽古を中心に行います。

柳生新陰流兵法

新陰流は戦国時代に「剣聖」と謳われた上泉信綱が創始し、柳生石舟斎宗巌、柳生兵庫助利厳、柳生連也厳包へと継承、工夫されたいわゆる「尾張柳生」の新陰流を稽古しています。

春風館初代館長の神戸金七は、江戸時代最後の尾張藩兵法指南となった柳生厳周に師事し、その教えをそのまま後世へと伝えました。

流儀の正式名称は「新陰流兵法」ですが、柳生家が江戸幕府の要職にあったことから広く「柳生新陰流」と呼ばれるに至り、私たちもその呼称を採用しています。

柳生新陰流の稽古

木刀と袋しないを用いた形稽古が中心です。立ち方、歩き方をはじめとする武道の身体の使い方や刀の持ち方、打ち方、相手と相対した際の間積り、拍子などの理合を学び、深めていくことが目的となります。

また、大太刀や薙刀、杖や抜刀など様々な道具を扱います。

円明流

円明流は宮本武蔵が24歳の時に初めて興した流派で、晩年に二天一流を名乗るまでは長く円明流を名乗っていました。宮本武蔵は尾張に3年ほど滞在して円明流を伝え、尾張では江戸期を通じて盛んに稽古されていたようです。

春風館には尾張貫流槍術の中に残された二刀の実伝が伝わっています。

円明流の稽古

二刀の形を学びます。二刀の身体の使い方は、一刀の剣術を理解する上でも大きな助けとなります。尾張に伝わった円明流は、木刀での形稽古だけでなく、二刀の袋しないと小手を用いて相手を実際に打つ稽古も行います。

静流

静流は静御前が源義経に授けられたとされている流儀です。春風館初代館長の神戸金七の家系(神戸家)は伊賀城主の末裔であり、そこに伝わっていたのが静流です。自在剣と呼ばれる薙刀に似た武器を用いた五本の形を稽古しています。

静流の稽古

自在剣を使った形を稽古します。長物は形が求める動きをより明確に示してくれます。